7.年間行事

東大寺では、1年を通してさまざまな仏教行事や法要が行われています。
なかでも特に有名なのが、二月堂で3月に行われる「修二会(しゅにえ)」です。

一般には「お水取り」という名前でも知られていますが、お水取りは修二会の中で行われる行法の一つです。修二会そのものは、天平勝宝4年(752)に実忠和尚によって始められたと東大寺公式サイトに紹介されています。

このほかにも、正月の修正会、2月の節分、4月の仏生会、10月の転害会、12月の仏名会など、東大寺ならではの行事があります。

7.1 東大寺の主な年間行事
🔸東大寺ではどんな年間行事が行われる?
東大寺では、1月の修正会、2月の節分、3月の修二会(お水取り)、4月の仏生会、10月の転害会、12月の仏名会など、年間を通してさまざまな行事が行われています。

代表的な行事を月ごとに見てみましょう。

主な行事主な場所
1月修正会 大仏殿
2月節分・星供養二月堂
3月 修二会(お水取り)二月堂
4月 仏生会(花祭り) 大仏殿
10月転害会 勧進所(八幡殿・公慶堂など)
12月 仏名会二月堂

※東大寺ではこのほかにも年間を通して多くの法要・行事が行われています。日程や内容は年によって変更される場合があるため、訪問前には東大寺公式サイトの年中行事一覧をご確認ください。

🔸1月|修正会など新年の行事
東大寺では新年を迎えると、さまざまな行事が行われます。
代表的なものの一つが、1月7日に大仏殿で行われる「修正会(しゅしょうえ)」です

修正会とは、正月に行われる法会のことで、東大寺では「天下泰安」「風雨順時」「五穀成熟」「万民快楽」などを祈願する法要として営まれています。

現在の東大寺の修正会は、江戸時代に再興されたものです。
また、12月31日から1月1日にかけて、鐘楼で除夜の鐘が行われます。東大寺の大鐘は非常に大きく、複数人が組になって綱を引いて鐘を撞く形式が特徴です。

🔸2月|節分・星供養
2月には、二月堂で節分行事が行われます。

節分の日には、
・古札撥遣(還宮)
・豆まき
・星供養
・万灯明
などが行われます。

なかでも豆まきは、二月堂の舞台や特設舞台から参詣者に向けて行われることで知られています。
また、夕方から行われる星供養では、星に「除災与楽」を祈る法会が行われます。

東大寺の節分は、一般的な「豆まき」のイメージだけでなく、仏教の法要や祈りと結びついた行事として見ると、より深く理解できます。

🔸3月|修二会(お水取り)|東大寺を代表する伝統行事
東大寺のお水取りとは?
東大寺のお水取りとは、二月堂で行われる「修二会」の中で、3月12日の深夜に若狭井から観音さまに供える香水を汲み上げる行法を指します。

修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)法要」です。
東大寺公式によると、修二会は天平勝宝4年(752)に実忠和尚によって始められ、2026年で1275回を数えます。
現在の修二会は、3月1日から14日までの14日間、二月堂で本行が行われます。

🔸修二会と「お水取り」「お松明」の関係
「お水取り」という言葉だけを見ると、修二会と別の行事のように感じるかもしれません。

しかし、実際には、
修二会(本行)

その中で行われるさまざまな法要・行法

3月12日深夜のお水取り
という関係です。

また、修二会では練行衆が二月堂へ上堂する際に、道明かりとして松明がともされます。
このため、修二会は「お水取り」「お松明」という名前でも広く知られるようになりました。

🔸お水取りはなぜ行われる?
修二会は、二月堂の本尊である十一面観世音菩薩の前で、日常のさまざまな過ちを懺悔する法要です。

その起源には、国家や人々の安寧を願う宗教行事としての性格もあり、東大寺公式では「鎮護国家」「天下泰安」「風雨順時」「五穀豊穣」「万民快楽」などを願う行事として説明されています。

そのため、お水取りを単なる観光イベントとして捉えるのではなく、長い歴史を持つ仏教行事として理解したうえで参拝することが大切です。

🔸修二会を見学する場合の注意点
修二会は非常に多くの参拝者が訪れる行事です。
特に3月12日の「お松明」は混雑が激しく、東大寺公式サイトでも入場規制などについて注意喚起されています。

また、修二会期間中は二月堂周辺で撮影に関するルールも設けられています。
「お松明を見に行く」という観光目的だけではなく、仏教行事としての意味を理解し、参拝者や行事の安全に配慮することが大切です。

🔸4月|仏生会(花祭り)
4月8日には、大仏殿で仏生会(ぶっしょうえ)が行われます。
仏生会は、釈尊の誕生を祝う行事です。

東大寺では大仏殿正面に花御堂を設け、その中に誕生釈迦仏を安置します。
法要後には、参詣者が誕生釈迦仏に甘茶を注ぐ「甘茶かけ」も行われます。
一般に「花祭り」と呼ばれることもあるため、「東大寺の花祭りを見てみたい」という人にも注目される行事です。

🔸10月|転害会など秋の行事
10月には、転害会(てがいえ)が行われます。
東大寺公式の年中行事一覧では、10月5日に八幡殿・公慶堂で転害会が行われ、法要後には秘仏開扉が予定されています。

また、10月15日には大仏殿などで「大仏さま秋の祭り」が行われ、盧舎那仏造顕発願慶讃法要、献茶式、慶讃能などが行われます。
秋の東大寺を訪れるなら、こうした通常の観光とは少し違った寺院文化に触れられる時期でもあります。

🔸12月|仏名会
12月には、二月堂で仏名会(ぶつみょうえ)が行われます。
仏名会は、過去・現在・未来の三世諸仏の仏名を唱え、その年に犯した罪障を懺悔し、滅罪生善を祈る法会です。

東大寺では、現在の仏名会が大正年間に再興されたと公式サイトで説明されています。
年末の東大寺を訪れる際には、単なる観光だけでなく、こうした一年の締めくくりに関わる仏教行事にも注目してみるとよいでしょう。

🔸東大寺の年間行事は「観光」だけでなく「祈り」の場
東大寺の年間行事を見ていくと、単なる季節イベントではなく、仏教の教えや祈りを現在まで受け継ぐ法要・行事であることが分かります。

特に修二会は、752年に始まって以来、東大寺の長い歴史の中で受け継がれてきた重要な行事です。

観光で東大寺を訪れる場合でも、
・「何が行われているのか」
・「なぜ行われているのか」
・「どのような願いが込められているのか」
を知ってから訪れると、境内の見え方も変わってきます。

🔸東大寺の年間行事を見に行く際の注意点
年間行事の日程や開始時間、参拝方法などは、行事によって異なります。
また、修二会のように大変混雑する行事もあります。

そのため、行事を目的に東大寺を訪れる場合は、必ず訪問前に東大寺公式サイトの最新情報を確認することをおすすめします。
特に「お水取り」「お松明」については、混雑や入場規制、撮影ルールなどが設定される場合があります。

🔸東大寺の年間行事まとめ
東大寺の代表的な年間行事をまとめると、次のようになります。
・1月:修正会・除夜の鐘
・2月:節分・星供養
・3月:修二会(お水取り・お松明)
・4月:仏生会(花祭り)
・10月:転害会・大仏さま秋の祭り
・12月:仏名会
このほかにも、東大寺では年間を通じてさまざまな法要や行事が行われています。